糖尿病 闘病記 病気に負けない
第1章 和幸(かずゆき)の闘病記
2022年6月10日。心不全のため呼吸困難となり、救急車を要請。総合病院へ緊急搬送。即、ICU(救急救命センター)入院となる。
ICU救急救命センターへ運び込まれると若い医師がやって来て、胸部をエコー検査した。
「心機能30%、即、ICU入院」
そう告げるとあたりの看護師たちが一斉に動き出した。
左腕に注射針を刺され血液検査。鼻に酸素吸入のチューブを挿入。40歳くらいの女性看護師が私のパンツに手を掛けると薄っすらと微笑みながら、口を開いた。
「もうトイレには行けませんから、オシッコを取る管をつけますね」
看護師の言ってる意味が判らない。「少し痛いですが、我慢してください」
看護師が慣れた手付きで私の陰部をつまむと尿道カテーテルの先端を穴の入口にそえた。
『え? そんな物を挿入するのか?』
私は怖くなって、心の中で呻いた。
ベテラン看護師は無造作に陰部の穴からカテーテルを突き刺してくる。
『痛い!!』
私は顔を歪めた。
現在、私は67歳、67年生きてきたから、性的な失敗も重ねてきたが、このような痛みは始めてだった。陰茎というものは中から外へ出すように造られている。それで出す時は快感が走るようになっている。それを逆から管を入れられて、非常な不快感と痛みが起こった。
「大丈夫ですか? 少しすると慣れますから」
看護師は微笑んだまま、気楽に言った。
『たまったもんじゃない。いきなりこんなことされるんだ?」
病院に来た事を激しく後悔したが、後の祭りだった。陰茎からのカテーテル挿入、それが立派な医療行為であることは理解している。理性では判っているが、感情が追い付かない。
「お小水は勝手に採尿バックに流れますから、息ばったりしなくていいですよ」
「何もしなくていいんですか?」
私は不思議に思った。生まれてこのかた、小便を息ばらずにしたことがない。膀胱から自然に小便が流れるらしい。
『あ! 本当だ。陰茎の頭に突き刺さっている透明の管から黄色の小便が流れ出していて、ストレッチャーの手すりにぶら下げられた採尿バックにはすでに少しだけ小便がたまっているではないか。まったく意識してないのに小便が勝手に流れ出ている不思議な感覚だ。
私の体の中で一番デリケートな部分を看護師から無造作に扱われて、少し悲しかった。むこうは仕事でやっている医療行為であることは重々承知してるけど、男して、人間として悲しかった。